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あの頃another side
3




「おい・・・葛西!!」
部屋へ入るなり、後ろから坂本を抱きしめた。
力の入っていない抵抗に、うなじに唇を押しつけた。
「ん・・・!」
それから舌を這わせ、耳へと移動し舌を差し込む。
それと同時にブレザーのボタンを外していった。
「あ・・・あ・・・葛西・・・やめ・・・」
「今更止められるか」
シャツをまくりあげ、直にその素肌に触れた。
坂本の体が更に強張ったのが伝わってきた。

「いやか?」

耳元で囁くと、坂本は肩をすくめて、言った。

「・・・こ、ここじゃ、嫌だ・・・うわ!」

葛西は坂本の体を持ち上げると、ベットへと放り投げた。
「葛西!・・・ん!」
再び強引に口を塞ぐ。
何度かそうしているうちに、坂本の腕が葛西の腕を掴んだ。

「坂本・・・」
「葛西、俺、どうすればいいんだよ?」
「何もしなくていい」

坂本に経験が無いことは、今の言葉で確信してしまった。
長い前髪をかきあげ、額にキスを落とす。
らしくないな、と自分で思った。
こんなことは、誰にもしたことがない。

坂本の腕が葛西の首に回される。
葛西は坂本のシャツのボタンを全て取り去り、その肌に幾度も口づける。
露わになった胸の突起に舌を這わせた。
「あ・・・!」
坂本の体がしなる。
葛西は音が出る程そこを吸い上げ、舐めあげた。
「は、あ・・・あ・・・葛西・・・そこ、嫌、だ・・・」
「嘘つけ」
もうひとつの突起を指でなぞりながら、すぐ下を強く吸い上げた。
「つっ・・・!」
唇を離すと、まごうことなき自分の所有印が残されていた。

葛西は少し体を横にずらし、手を下へとのばす。
「!葛西!!」
流石に意図に気付いたのか、坂本の手が葛西の手を止めようとしてきた。
しかし今になって止められるものか。
坂本の抵抗も構わず、ズボンのジッパーを下げ中へ手を差し込んだ。
その瞬間、再び坂本の手は前よりさらにきつく葛西の首へと回された。

坂本自身は、もう反応していた。
その固さをゆるくなぞり、握りしめ前後へと手を移動させる。
「はあ・・・あ・・・!か、さい・・・!あ・・・あ・・・」
坂本の声だけでも十分葛西を煽った。
葛西は手の動きを速めた。
「あ!あ!か・・・っ!!」
かさい、と言おうとしたのだろう。しかしその言葉の前に坂本は達した。
葛西の手に坂本の興奮の痕が残る。
「はあ、はあ・・・かさい・・・ごめ・・・」
「謝るな」
坂本は涙目になっていた。
それでも謝罪しようとする唇を塞ぎ、更に奥まった場所へと手を伸ばす。
坂本の体が緊張したのが伝わってきた。

「男同士が、どうやるか、知ってるか?」
口づけの合間にそう問うと、坂本は小さく頷いた。
自分たちがいたのは共学でも、嫌でもそんな話は耳に入ってきていた。
葛西と坂本が一緒にいたせいか。女子は笑い半分でそんな話をしていたのだ。

坂本は再びぎゅっと葛西にしがみついた。
「おい、そんなにしがみついたら続き出来ねえぞ」
苦笑混じりに葛西は口にする。
坂本は返事がわりに、その腕の力を緩めた。

葛西の指が坂本の内部へと侵入する。
「ん・・・!」
坂本の体が更に緊張した後、力を抜いたのが分かった。
先ほどの坂本自身の滑りを利用して、一本だった指を二本に増やす。
坂本は必死に息を正していた。
「キツイか?」
「ま、だ・・・平気」
葛西の頭を掴みながら、足を開き葛西を受け入れようとしている坂本の姿に我慢出来なかった。
葛西は一気に三本指を押し込み、中をかき乱した。
「ああ・・・!!」
流石にきつかったのか、坂本の体は力が入ったまま呼吸も整えられない様子だ。
「ちょっと我慢しろ・・・!!」
そう言うと、葛西は遠慮もなく坂本の中をかき乱し続けた。
「か、かさい・・・!!」
きっと坂本は知らないであろう場所を指で探る。
そうしたら、なにやらしこりのようなものが指にあたった。
そこを引っ掻いた途端、坂本の体が魚のようにしなった。
「あ・・・!!」
「ここか」
場所を忘れないように、葛西はそこを幾度か指で刺激した。
その度に坂本の体がはねる。
「や!・・・か、さい!そこ・・・!」
「ここだろ」
首を振り快感を否定する坂本は、葛西にとっては十分刺激的だった。
一気に指を引き抜く。
そして、ズボンのジッパーを下し自分自身をあてがった。

「はあ・・・はあ・・・かさい・・・」
「・・・いいか?」
流石にこれ以上はきついかと思った葛西だったが、坂本はその問いにすぐに頷いた。
「大丈夫・・・だから」
坂本はそう笑顔で返してきた。
葛西は堪らなく自身を坂本の中へと押し込む。衝動にまかせないように、少しずつ。
傷つけたくは、ないのだ。

「あ・・・あ・・・」
「くっ・・・!」
坂本の中は狭く、そしてこれ以上もない程熱かった。
「悪い」
一番太い部分が入った時、葛西はそう一言言った後、一気に自身を押し込めた。
「あああ!!」
たまらず坂本が声を上げる。しかしその声さえ葛西を煽るものだった。
「大丈夫か?」
一気に自身を押し込めた後、必死に呼吸を整えようとしている坂本に問う。
葛西自身の呼吸も荒くなっていた。
そしたら、葛西の心配もよそに坂本は笑って言った。
「らしくねぇ・・・」
「アホ、心配してんだろうが」
「だから、それ、が、あ・・・らしく、ねぇって」
全て押し込んでしまったので、坂本の顔と葛西の顔は近くにあった。
坂本はそんな葛西の顔の両頬に手をあてる。
「いいよ、もう・・・来いよ・・・」
「・・・っ!」

これほど煽られたことはない。
葛西は己の欲望のままに坂本へと自身を打ち付けた。
「ああ!!」
先ほど坂本が反応した個所へ擦り上げた途端、坂本は隠すことなく声を上げた。
葛西は一気にそこを攻めあげた。
「あ!あ!葛西!か、さい!!」
お互いが触れ合う音と、坂本の声しか響かなかった。
葛西は坂本も一緒に感じられるよう、しかし我慢できない己を持て余しつつ、坂本を攻め続けた。

同時に果てられたのは、偶然なのか。

二人とも呼吸が荒かった。
葛西は坂本から己自身を抜き取った。
それすらも坂本の体には反応させる要因だったようだ。
坂本はその瞬間、息を飲んでいた。

葛西は坂本から己を抜き取った後、再び坂本の体へもたれかかった。
そうすると坂本は緩く、しかしはっきりと葛西の背へ腕を廻してきた。

「大丈夫か?」
「正直・・・キツイ・・・」
まだ呼吸が荒い坂本の正直な答えに、苦笑する。
それでも受け入れてくれたのだ。こいつは。
「は、・・・はぁ・・・でも・・・」
「ん?」
腕を廻してくれている坂本の胸へと葛西は頭を預けた。
こんな気持ちになるのは初めてだ。

「嬉しかった」

そんな坂本の声に再び反応してしまったが、ばれないよう体をずらし、収まった後坂本を抱き上げ
風呂場へと直行した。
真っ赤になった坂本をその時初めて見た気がした。







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