COREでは引き続き飲み会が行われていたが、あの二人が帰ってしまってからはその雰囲気が変わっていた。
酔っぱらっていた筈の連中の話題は「果たしてあの二人はデキているのか」という議論に移ろうとしていた。
「やっぱ・・・そうなんじゃねぇの・・・?」
「葛西さんて、おんぶ、するんだな」
「坂本限定だろ」
「だよな・・・てことは・・・やっぱり・・・」
みんな自覚していた。酔いが一気に醒めてしまったことに。
だが一人だけ、真っ赤な顔をしながらグビグビとビールを飲み続けてる者が、一人だけいた。
その手にあるビール瓶を、ドンッとテーブルに叩きつける。
「・・・西島」
「なんだ、まだしゃべれるのかリン」
「お前は耐えられるのか」
「なにがだよ」
「あいつらだよ!!」
リンの声が店内に悲痛に響いた。
「俺はいっつも毎日ずっと我慢してんだよ!!なんだよあいつらは!!時と場所をわきまえろ!!俺はもう限界なんだ
よ!!!」
真っ赤な顔で呂律の回らない口でよくここまでまくしたてられるものだ。
西島は変な感心をした。
「学校でも店でも!!前田とのことがあってから更に!!あいつら周りが見えてねーんだよ!!なんだあの葛西の態度
!!バレバレだってーんだよ!!!」
ゆでダコになって怒り狂うリンに、店の中にいた連中が開いた口が塞がらなかった。
「・・・周りが見えてねーことはねーだろ。確信犯だあれは」
「かっ〜〜〜!!冷静に分析してんじゃねぇよ西島!!だからムカつくんだよ!!」
「・・・なんでてめーがそんなにキレてんだよ」
核心を突いた西島の言葉に、リンは思わず黙ってしまった。
「なになにリンちゃん、もしかして焼きもちじゃねーの?」
どこかから飛んできた言葉に、リンに気圧されしていた周りの連中も尻馬に乗ってきた。
「なんだリンちゃんそうだったのかー」
「可哀そうになぁ。ありゃぁ諦めるしかねーよなー」
店内に爆笑の波が起こる。
リンは顔を真っ赤にして、今度こそブチ切れた。
「俺は関係ねーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
爆笑が起こった店内でも、葛西と坂本の噂に傷心を負っていた輩が実は数人いたことは、西島以外気づかなかった。
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