俺の隣には、常に坂本がいて欲しかった。
つるむようになってから、家族というものが不在の俺の家へ坂本はよく泊りにくる
ようになっていた。
俺がコンビニ弁当ばかり食べているのを見て、「体に悪いぜ」と言って、うちに来て
は料理をなにかしら作っていた。
俺がこんなに自分のテリトリーに人をいれるのは初めてだった。
だが全然不快ではない。
自然と、家にいたくないという坂本と一日中一緒にいることとなった。
坂本の家は離婚寸前な両親で、居心地が悪いと言う。
それすらも、坂本は笑いながら言っていた。
「どう転んでも、いいんだけどな」
返す言葉が浮かんでこなかった自分を呪った。
人をなぐさめたいと思ったことなど一度もないのだ。
ほぼ毎日俺の家に来て、飯を作り、同じベットで寝る。
ある日ふと目が覚めた。
坂本がこちらを向いて眠っている。
俺は無意識のうちに坂本の頬にキスをしていた。
自覚した。これは友情以上の感情だ。
それから幾度となく眠っている坂本へと唇を落とした。
気づくな。気づくな。
そう思いながら。
坂本の笑顔も、俺に対する態度も、何も失いたくなかった。
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