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泳ぎ続ける君へ5









「か、さい・・・?」

今起きたことが信じられない。
葛西はもう一度呆然としている坂本にキスをして、顔を離すこともせず話始めた。
「てめえが、俺の気持ちに気付いたんだと思った」
「葛西の、気持ち?」
「辛ぇっつったろ。流石に気色ワリいんだと思ったんだよ」
「え・・・」
「まだ分かんねえか?」

坂本もここまで言われて察しがつかないほど馬鹿ではない。
みるみるうちに、坂本の顔は朱に染まっていった。
その変化を間近で見ながら、葛西は「てめえはどうなんだ」と聞いてきた。
「俺は・・・」
坂本は意を決した。

「好きだよ、葛西。ずっと好きだった」

その時葛西は漸く笑った。今まで見たことのない、優しげな笑顔だった。

三度目のキスを受けながら、坂本は決心していた。





お前を止められるなら、俺はなんだってするよ。









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